一棟収益物件のマイソクは何が違う?利回り・レントロールの書き方

居住用と投資用のマイソクで読み手が最初に見る情報の違い

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アパート、マンション、投資用の区分ワンルーム——収益物件のマイソクを、居住用と同じ感覚で作っていないでしょうか。投資家が見ているのは「住み心地」ではなく数字です。同じ1枚でも、居住用と投資用では読み手が求める情報がまったく違います。

本記事では、収益物件のマイソクで押さえる利回りの書き方、レントロールに載せる項目、数字を裏付ける情報、そして紙面の組み方を実務目線で整理します。

居住用も含めた記載項目と法令上のルールはマイソクとは?意味・語源から記載項目・作り方・法律ルールまでをご覧ください。

居住用と何が違うのか

居住用と投資用のマイソクで読み手が最初に見る情報の違い
居住用と投資用のマイソクで読み手が最初に見る情報の違い

違いは「誰が読むか」から派生します。読み手が変われば、最初に見る場所も、写真の役割も変わります。

観点 居住用 収益物件
読み手 住む人、その家族 投資家、金融機関
最初に見るもの 価格、間取り、駅距離 価格、利回り、想定年収
写真の役割 暮らしを想像させる。紙面の主役 建物の状態を確認する。数字の補足
間取図 最重要。部屋の使い勝手を判断する タイプ別に1つあれば足りることが多い
紙面の主役 写真とキャッチコピー 数字の一覧(利回り・収支・レントロール)
不足すると困るもの 設備、周辺環境 現況入居率、修繕履歴、ランニングコスト

言い換えると、居住用は「良さそうに見えるか」、収益物件は「計算できるか」で判断されます。数字が欠けていると、良し悪し以前に検討の土俵に上がりません。

利回りの書き方

表面利回りと実質利回りを混ぜない

利回りには段階があります。どちらを載せるかではなく、どちらなのかが分かる形で載せるのが要点です。

種類 計算 使いどころ
表面利回り 年間賃料収入 ÷ 物件価格 × 100 物件どうしの比較。最初のふるい分けに使われる
実質利回り (年間賃料収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時諸費用)× 100 実際に手元へ残る額の見込み。検討が進んだ段階で見られる

紙面に大きく出すのは表面利回りで構いませんが、経費を差し引いた数字ではないことが分かるようにします。年間経費には、固定資産税・都市計画税、管理委託費、共用部の水道光熱費、原状回復費、火災保険料などが含まれます。

満室想定か現況か、必ず区別する

収益物件のマイソクで最も誤解を生みやすいのがここです。満室を前提にした想定年収と、いま実際に入っている現況年収は別物で、空室があれば当然ずれます。

どちらか一方だけを「年間収入」と書くと、読み手は自分に都合よく解釈します。実務では両方を並べ、現況入居率を添えるのが安全です。満室想定だけを載せる場合は、その旨を数字のすぐ横に明記します。注記を紙面の隅に小さく置くのではなく、数字と同じ場所に置くのが原則です。

利回りだけを大きく打ち出さない

裏付けのないまま「利回り○%」だけを大きく出す図面は、経験のある投資家ほど慎重に受け止めます。高い数字には理由があるはずで、その理由が書かれていなければ、探す手間を嫌って外されます。数字の根拠まで整理して示すことが、そのまま物件への信頼になります。

レントロールに載せる項目

レントロール(各住戸の賃貸条件の一覧)は、収入の内訳を確かめるための中核資料です。ここが雑だと、想定年収の数字そのものが疑われます。

項目 何が分かるか
部屋番号・間取り・専有面積 住戸ごとの条件差。同じ建物内の賃料のばらつきの理由
現行賃料・共益費 収入の内訳。合計が想定年収と合うかを検算できる
敷金・礼金 引き継ぐ預り金の額。売買代金とは別に精算が要る
契約日・契約期間 更新や退去が近い住戸。直後に空室が出るリスク
入居中・空室の別 現況入居率。想定年収との差の理由
契約形態 普通借家か定期借家か。明渡しの見通しが変わる

紙面に載せるか、別紙にするか

戸数が少なければマイソクの中に収まりますが、戸数が増えると読めない大きさになります。目安として、1枚に収めて文字が小さくなりすぎるなら別紙に分け、マイソク側には合計と入居率だけを置きます。無理に詰め込んで潰れた表は、載せていないのと同じです。両面にして裏面へ回す方法もあります。

想定年収の出し方

利回りの分子になる想定年収は、書き方ひとつで説得力が変わります。合計額だけを置くと、読み手は必ず「その根拠は」と考えます。

空室の賃料をどう置くか

満室想定を出すには、空いている住戸に賃料を仮置きする必要があります。ここで同じ建物の入居中の住戸の賃料をそのまま当てはめると、実勢とずれることがあります。古い契約が残っていれば当時の水準のままですし、逆に直近で埋めた住戸なら現在の相場に近い数字です。

仮置きの根拠は紙面に添えます。「同建物・同タイプの直近成約」なのか、「周辺の類似物件の募集事例」なのかを一言書くだけで、数字の受け取られ方が変わります。根拠を書けない賃料は、そもそも仮置きの精度が低いというサインでもあります。

経費をどこまで引くか

実質利回りを載せるなら、何を引いた数字なのかを並記します。経費率が何%かという一般論より、内訳が示されているかどうかが読まれます。主に次のものが対象です。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理委託費(賃貸管理・建物管理)
  • 共用部の水道光熱費、エレベーターや消防設備の点検費
  • 火災保険料・地震保険料
  • 原状回復費、募集にかかる広告費

経費の水準は構造・規模・管理形態で大きく変わるため、率だけを示しても比較できません。金額の内訳を出すほうが、結果的に検討を早めます。

数字を裏付ける情報を添える

投資家は感覚ではなく比較で判断します。同エリア・同利回り帯の他物件と並べられる前提で、次の情報を用意しておくと検討が進みます。

情報 投資家が何を見ているか
構造・築年数 融資期間と減価償却の目安。住宅用の法定耐用年数は木造22年、重量鉄骨造34年、RC造47年
大規模修繕の履歴・予定 屋根・外壁・給排水。購入後にすぐ出ていく費用の有無
再建築の可否・接道状況 土地としての価値と、売却するときの出口
ランニングコスト 固定資産税・都市計画税、管理委託費。実質利回りの前提
賃貸需要の背景 路線と周辺の賃貸マーケット。想定賃料が妥当かどうか
土地・建物の面積と権利 所有権か借地か。担保評価に直結する

読み手はもう一人いる——金融機関

収益物件のマイソクには、居住用にはない特徴があります。投資家がそのまま金融機関へ持ち込むことです。融資の相談で最初に机に出るのが、この1枚であることは珍しくありません。

そこで見られるのは、投資家が見る数字とは少し違います。担保の評価に効くのは土地の面積と権利形態(所有権か借地か)、返済期間の目安になるのは構造と築年数、返済原資の見込みになるのが現況の収入です。いずれも投資家向けの項目と重なりますが、「探さずに読める位置にあるか」が問われる点が異なります。

建物概要(構造・築年・戸数・土地面積・建物面積・権利形態)をばらばらに置かず、1つの枠にまとめておくだけで、この場面での扱いやすさが変わります。図面が読みにくいことが、そのまま検討の遅れになります。

表示ルールは居住用とまったく同じ

収益物件のマイソクも、宅地建物取引業法・景品表示法・不動産の表示に関する公正競争規約の対象であることは居住用と変わりません。数字が主役の資料だからこそ、表示の正確さがそのまま信頼を左右します。

項目 ルール 根拠
徒歩分数 道路距離80mを1分。1分未満は切り上げ。実測時間では算出しない 表示規約施行規則 第10条第10号
起点・着点 距離や所要時間を書くときは、どこからどこまでかを明示する 同 第8号
面積 建物は延べ面積で表示する 同 第15号
「新築」 建築後1年未満、かつ未入居の両方を満たすときだけ使える 表示規約 第18条第1号
取引態様 広告時と、注文を受けたときの2場面で明示する義務がある 宅建業法 第34条第1項・第2項
写真の加工 実物との落差を生む加工は不当表示になり得る 表示規約 第23条第20号/宅建業法 第32条

条文は宅地建物取引業法同施行規則、規約全文は不動産公正取引協議会連合会で確認できます。実態とかけ離れた印象を与える表示は景品表示法上の優良誤認にもつながります。

紙面の組み方

表面に置くもの

視線の流れは居住用と同じ「左上→右上→左下→右下」ですが、置くものが変わります。左上に外観写真、右上に価格と利回り、想定年収、左下に建物概要(構造・築年・戸数・土地建物面積)、右下に収支とレントロールの要約。会社情報は紙面下部の帯にまとめます。

居住用の型を流用すると、写真の枠が大きすぎて数字が入らなくなります。収益物件では写真は3〜4点あれば足り、その分を数字に回します。

両面にする場合

戸数が多い物件では両面が現実的です。ただし表面だけで判断が成立するように組みます。裏面は必ず見られるとは限らないためです。価格・利回り・想定年収・帯は表面に置き、レントロールの明細や修繕履歴、周辺の賃貸事例を裏面へ回します。

よくある失敗と、その直し方

収益物件の図面で問い合わせが伸びないとき、原因はデザインより数字の見せ方にあることがほとんどです。

症状 原因 直し方
利回りは高いのに反応がない 満室想定か現況かが書かれておらず、信用されていない 前提を数字の横に明記し、現況入居率を併記する
問い合わせが「資料をください」で止まる レントロールや修繕履歴が図面に無く、次の一手が資料請求になる 要約だけでも紙面に載せ、明細は別紙で用意する
金融機関の話で止まる 構造・築年・土地面積・権利形態が読み取りにくい 建物概要を1つの枠にまとめ、探さずに読める位置に置く
居住用の型を流用して数字が入らない 写真枠が大きく、収支の置き場所が残っていない 写真を3〜4点に絞り、空いた面積を数字に回す
レントロールが読めない 戸数が多いのに1枚へ詰め込み、文字が潰れている 両面にするか別紙へ。紙面には合計と入居率だけ置く
帯替えしてもらえない 会社情報が本文に散っていて差し替えられない 取引態様・商号・免許証番号・連絡先を下部の帯に一本化する

よくあるご質問

利回りは何%以上なら大きく書いてよいですか?

数字の高さで決めるものではありません。基準は「その数字の前提が同じ紙面に書かれているか」です。満室想定か現況か、経費を引いているかが書かれていれば、水準にかかわらず大きく出して構いません。

空室が多い物件は、入居率を隠したほうが売れますか?

逆効果です。入居率は資料請求や現地確認の段階で必ず分かります。伏せていたことが分かると、他の数字まで疑われます。空室が多いなら、賃料設定の見直し余地や原状回復済みの住戸数など、埋められる根拠を添えるほうが検討につながります。

室内写真はどこまで載せるべきですか?

居住用ほど点数は要りませんが、ゼロにはしません。入居中の住戸は撮れないので、空室と共用部(エントランス・廊下・ゴミ置き場)、そして外観と屋上・外壁の状態が分かるカットを押さえます。共用部の管理状態は、そのまま管理の質の判断材料として見られます。

区分の投資用ワンルームでも同じ考え方ですか?

基本は同じです。ただしレントロールは1戸分なので、管理費・修繕積立金の額と、管理組合の修繕積立金の残高・長期修繕計画の有無が、一棟物件でいう修繕履歴の位置を占めます。建物全体の管理は自分では動かせないため、そこが読み取れるかどうかが判断を左右します。

まとめ:数字を軸に組み立てる

収益物件のマイソクは、利回りを軸に組み立てる点で居住用と情報設計が大きく異なります。表面利回りと実質利回りを混ぜず、満室想定か現況かを数字の横に明記し、レントロールで内訳を示し、構造・築年・修繕履歴・ランニングコストで裏付ける——このひと手間が、検討してもらえる図面とそうでない図面を分けます。表示ルールが居住用と同じである点も変わりません。

イケイタマイソクでは、居住用・売買・投資用を問わず、物件種別に応じた情報設計でマイソクを作成しています。レントロールや収支項目を整理したフォーマットにも対応できます。文字・金額の修正は無制限、初稿提出は資料受領後3営業日、最終稿の納品は平均7営業日で、初回1物件はトライアルプラン16,500円(税込)からご依頼いただけます。

本記事における法令・規約の引用は、2026年8月時点の条文に基づいています。制度改正の可能性があるため、実務では必ず最新の条文をご確認ください。